2018年に購入した Synology DS218+ は、これまでトラブルなく稼働してきました。今の使い方では特に不満も無かったのですが、仮想マシンを動かす為にメモリを増設しておきたかった事、HDD が連続稼働3年を過ぎて保証期間を過ぎた事もあり、そろそろ機能を増強してあげたいと考えていました。今回、Amazon の Black Friday でタイミングよくメモリの価格が下がり、また 一回り大きな容量の HDD を購入しましたので、作業過程を記録として残しておきます。
- 現在の構成
- 購入したもの
- 取付前の HDD 高負荷テスト SeaTools
- Synology DS218+ メモリの増設 (2GB + 4GB)
- HDD の取替 (内蔵分、ホットスワップ)
- HDD の取替 (USB HDD)
- 取り替え後の構成
- まとめ
現在の構成
Synology DS218+ を購入したのは2018年10月の事でした。
これにバックアップ用 (ミラーリングはバックアップではありません) に HDD を追加しました。ケースは温度・ファン回転数表示のあるものにしました。
ですので、ハードウェアとしては、Synology DS218+ に 4TB HDD x 2、外付の 4TB HDD、という構成です。
- Synology DS218+
- WesternDigital Red WD40EFRX-RT2 x 2
- Seagate IronWolf ST4000VN008
- USB HDDケース センチュリー 四代目冷やし系HDD検温番 USB3.0 ブラック
Hyper Backup で Synology DS218+ の HDD を 外付 HDD へバックアップし、更に Microsoft OneDrive 1TB にバックアップする事で、バックアップの多重化を実現しています。残念ながら Amazon Photos は Synology の NAS から同期は出来なくなったので、Cloud Sync から外しています。
Synology DS218+ には、PC で編集するファイルを置いておくと共に、スマホの写真と動画を DS Photo で自動的にバックアップするようにしています。また、Active Backup for Business で PC の SSD のバックアップも保管しています。
購入したもの
Synology 4GB メモリ D3NS1866L-4G
ちょっとお高いけど純正品にしました。値段はたまに見ていて、Amazon 扱いだと 10k 前後で推移していましたが、Amazon Black Friday で 7k 台まで下がったので購入しました。
社外品だと安価で、4GB ではなく 8GB も認識できると各所で記事になっていますが、Synology から「サポート外ですよ!」メールが届くそうなので、重要な NAS のデータが飛んでもイヤなので(そんな事はないでしょうが)、結局純正品を選択しました。
Seagate IronWolf 8TB (CMR) ST8000VN004 3台
WD Red Plus と迷って、前回同様にメーカーを別にした方がよいかと考えていたのですが、WD Red Plus 8TB は早々に売れ切れ。という事で Seagate IronWolf にしました。
これまでの WD Red 4TB WD40EFRX-RT2 は 5400 rpm、Seagate IronWolf 4TB ST4000VN008 は 5900 rpm の回転数なのに対して、Seagate IronWolf 8TB ST8000VN004 は 7200 rpm なので、発熱及び騒音については気になる所です。
現在の 4TB でも半分ちょっとしか使っていないので、10TB や 12TB はもったいなさ過ぎるし、これから動画編集とか頻繁にやる事になったとしたら、10GB Ethernet で NAS も追加すると思いますので、今の DS218+ は 8TB で十分という結論になりました。
本当ならメーカーを分けたかったというのは正直な気持ちです。
取付前の HDD 高負荷テスト SeaTools
前回 WD Red 4TB を購入した際には高負荷テストは実施しませんでした。Seagete IronWolf 4TB と、長期間使用していた HGST 1TB については、WesternDigital の負荷テストソフトを使用してエラーが無い事を確認しました。
hiro20180901.hatenablog.com
ちなみに、この HGST 1TB は3年経過した今も問題なく動作しています。今はダウンロードするファイル置き場として使用しています。
今回は Synology DS218+ に取り付ける前に高負荷テストを実施する事にしました。
- 初期不良を掴んでいないか、事前に確認したい
- Synology DS218+ の SHR (ミラーリング) の復旧は高負荷なので、失敗したら返って時間がかかる
- 3台あるので1台ダメでも最悪は Synology DS218+ の HDD 取替までは辿り着けるだろう。その間に返品・交換処理が出来るはず。
という思惑から、Seagate のメーカー製高負荷テストツールを使用してみました。
こちらから Seatools (Windows) をダウンロードしてインストールしました。使用方法は以下に書かれています。
使用方法の日本語はマトモですが、ソフトウェアの日本語表示はビミョーでした。これなら英語のままの方が分かりやすい気もします。
初期画面
認識した HDD や SDD が一覧になっています。モデル番号にメーカー名や型式が書かれているので、間違う事はないかと思います。今回、USB アダプタ経由で接続した HDD は、SAS-SCSI-FC と USB-1394 の二つに表示されています。
ベーシックテストメニュー
HDD や SSD の先頭のチェックを選択すると、「ベーシックテスト」メニューが表示されます。SAS-SCSI-FC 側と USB-1394 側のどちらかを選択するのですが、選択する側によって表示されるメニューが異なります。下図はUSB-1394側を選択した場合のメニューです。
今回は HDD に不具合が無いので修復は実施せず、
の3種類を実施しました。ロングリードテストは時間を要する事と、裸で置いてテストしていると HDD が高温 (60℃以上)になったので途中で停止しました。
アドバンスドテストを選択して、表示されるダイアログ画面で「F8」キーを押すと、高級テストメニューが選択できるようになります。
高級テストメニュー
「アドバンスド」なのか「高級」なのかどちらかに統一して欲しい所ですが、それはともかく。
この中の「Sanitize Overwrite」を実施して全セクタ書き込みを実施しました。8TB HDD だと時間を要します。寝る前に実施して朝起きてから問題ない事を確認しました。
高負荷テストの実施結果と Seatools の感想
3台の IronWolf 8TB HDD は、全てのテストを問題なく終了する事ができました。これで初期不良の可能性は低いので、安心して Synology DS218+ に使用する事が出来ます。
Seatools for Windows は、必要な機能は揃っていると思いますが、あまり使い勝手が良いとは感じませんでした。WD のソフトウェア (Data Lifeguard Diagnostic は obsolete で、Western Digital Dashboard になりました、使い方PDF) と比較すると洗練されていない感じに見えます。
それでも、Sanitize も出来ますので、Seagate の HDD には Seagate のソフトウェアを使ってみました。
Synology DS218+ メモリの増設 (2GB + 4GB)
これから、実際の取り付け作業に入ります。まずはメモリの増設からです。
停止、分解掃除
約3年間、掃除もしないで連続稼働させていたので、これを機会に少し掃除も実施しました。
完全分解は出来なかった(調べきれなかった)ので、HDD を取り出して手の届く範囲を拭いたのと、背面のファンカバーを外してファン本体を掃除しました。ファンは結構汚れていました。側面の Synology ロゴの部分にも埃詰りがありましたので、ウェットティッシュで拭き掃除しました。
メモリ取付
Synology DS218+ の HDD を取り外すと、正面から見て右側にメモリスロットがあります。
ノートパソコンのメモリと同様に、斜めに差し込んで水平まで傾けるとノッチが引っ掛かって固定されます。
装着後の写真です。簡単に取り付けが終了しました。
あとは HDD を復旧して起動させます。コントロールパネル -> 情報センター -> 全般の物理メモリ容量が増えていればOKです。
HDD の取替 (内蔵分、ホットスワップ)
メモリの増設が終了したので、今度は HDD の取替です。Synolgy DS218+ はホットスワップに対応しているので、今後のトラブルの際の手順を確認する意味でも、一つ一つ確認しながら進めました。
大まかな手順としては、
- HDD 1台を取り出す (電源を入れたまま)
- ビープ音が鳴るので止める
- 新しい HDD にドライブトレイを移設する
- 新しい HDD を取り付ける
- RAID の修復
を2回繰り返す事になります。今回は故障している訳ではないので、No.1/No.2 どちらから始めても大丈夫です。故障している場合には、外す HDD の番号に注意が必要です。カバーを外した上側にマークが付いていますので確認します。正面から向かって左側がNo.1、右側がNo.2です。
この後の説明で載せる画面は2回目の HDD を取り換えた時のものです。
HDD 1台を取り出す
最初に Synology DS218+ の電源を入れたまま、片方の HDD を取り出します。
この状態で DSM の「システムの健康状態」は「健康」から「劣化」になります。
ストレージマネージャーも同様に「劣化」と表示されます。下部のディスク情報は、使用可能なスロット1個という表示になっています。
ビープ音を止める
ストレージが劣化した場合にビープ音(警告音)がなります。止めるのは、コントロールパネル -> ハードウェアと電源 -> 警告音の設定に「ビープ音をオフ」ボタンがあります。
通常はグレーアウトしていて押せないですが、ビープ音が鳴りだすと押す事が出来るようになります。ビープ音の鳴るのが分かっているので、予め表示させておいた方が良いと思います。
新しい HDD にドライブトレイを移設
古い方の HDD に取り付けてあったドライブトレイを取り外し、新しい HDD に取り付けます。工具は必要ありません。樹脂製の部品をはめ込むだけです。
新しい HDD を取り付ける
Synology DS218+ の電源を入れたまま、新しい HDD を取り付けます。認識されると、劣化状態は変わりませんが、ストレージマネージャーの下部に未使用のドライブ1個と表示されます。
RAID (SHR) の修復
ストレージマネージャーから RAID を修復します。
ストレージプールの「操作」から「修復」を選択します。
ディスクの選択で、追加したドライブを選択します。今回はドライブ2を選択しています。
全データが消去されると警告が出ますので、良ければ OK を押します。
最終確認をして、間違いなければ適用を押します。
修復中のストレージマネージャーの画面です。
後は待つだけです。終了したかどうかは、ログを見ると分かります。ログセンターに記録されたメッセージを抜粋して以下に示します。
レベル | ログ | 時刻 | ユーザー | イベント |
---|---|---|---|---|
Information | システム | 2021/12/07 01:35:23 | user | System successfully repaired [Storage Pool 1] with disk [ドライブ 2]. |
Information | システム | 2021/12/06 20:52:57 | SYSTEM | System successfully checked consistency of System Volume [Root]. |
Information | システム | 2021/12/06 20:52:57 | SYSTEM | System successfully checked consistency of System Volume [Swap]. |
Information | システム | 2021/12/06 20:52:10 | user | System starts to repair [Storage Pool 1] with disk [ドライブ 2]. |
Error | システム | 2021/12/06 20:37:20 | SYSTEM | Storage Pool [1] was degrade [1/2], please repair it. |
Information | システム | 2021/12/06 03:53:31 | user | System successfully repaired [Storage Pool 1] with disk [ドライブ 1]. |
Information | システム | 2021/12/05 18:40:48 | SYSTEM | System successfully checked consistency of System Volume [Root]. |
Information | システム | 2021/12/05 18:40:35 | SYSTEM | System successfully checked consistency of System Volume [Swap]. |
Information | システム | 2021/12/05 18:39:49 | user | System starts to repair [Storage Pool 1] with disk [ドライブ 1]. |
Error | システム | 2021/12/05 18:35:10 | SYSTEM | Storage Pool [1] was degrade [1/2], please repair it. |
要した時間
RAID のリビルドに要した時間は以下の通りです。約 2TB のデータが入っている状態です。
1台目 9時間14分
2台目 4時間43分
2台目の時間が短かった理由ははっきりとは分かりませんが、HDD のアクセス速度が影響しているかもしれません。
HDD の取替 (USB HDD)
Synology DS218+ の内蔵 HDD を取り替えたので、次にバックアップ用の USB HDD も新しいものに取り替えます。
USB HDD の取り外し
USB HDD をイジェクトしてから取り外します。HDD の入替の手順は過去の記事と同様です。
温度センサーのシールが劣化していたので、別のテープで貼り直しました。
HyperBackup 設定削除、新規作成
USB HDD を取り替えると、Hyper Backup の既存の設定は使えなくなります。もう一度、バックアップの内容を再設定する必要があります。
設定方法については、過去記事を参照ください。
取り替え後の構成
全ての機器を更新した後の構成は以下の通りです。
- Synology DS218+
- Seagate IronWolf 8TB (CMR) ST8000VN004 x 2 (内蔵)
- Seagate IronWolf 8TB (CMR) ST8000VN004 (USB HDD)
- USB HDDケース センチュリー 四代目冷やし系HDD検温番 USB3.0 ブラック
HDD 容量も倍増したので、あと数年は大丈夫だと考えています。
まとめ
Synology DS218+ のメモリ増設とハードディスク3台を取り替えました。特に迷うことなく増設と取替ができましたので、今後トラブルが発生した際にも落ち着いて作業ができると思います。
- HDD が高速になった為か発熱が増えたようです。最初の Hyper Backup の負荷が高い時に、USB HDD の温度センサーが45℃を超えてアラームを出していました。内蔵の HDD も40℃付近で推移しています。
- 音はゴロゴロと煩く感じます。ただ、普段の設置場所が騒音の多い居間の TV 台の中ですので、普段の生活音にかき消されて目立ちません。夜中等の静かな時には多少目立つ感じです。
- 読み書き速度は向上しているのかもしれませんが体感では分かりません。過去にも測定しましたが、通信の 1GB の速度が律速となるので、HDD の速度は生かせないと思います。ランダムアクセスは向上しているはず。
外した 4TB HDD 3台は、PC からどのように読み込めるかテストする予定です。将来 NAS 本体が故障した際に内部のデータを取り出す練習をします。Windows10 の仮想マシンで Linux を入れて、USB を接続できればなんとかなるかなぁと考えています。手順は別記事にまとめようと思っています。