hiroの長い冒険日記

主にコンピュータ周辺の興味を持った内容を綴ります

Ryzen Master で遊んでみる (完) まとめ

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Ryzen CPU や新しい PC への理解を深めるために、これまで5回に渡って Ryzen Master を使って PPT Limit 等を変更し、CPU 温度や Benchmark 結果の変化を確認してみた。最後に、これまで行ってきた事をまとめてみた。

その1 準備編

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Ryzen Master を install してみたものの、Error Message が表示されて起動出来なかった。原因は、Windows10 Pro の仮想化機能が有効な場合に、Ryzen Master が起動できない事だった。仮想化レイヤーが間に挟まると、CPU の設定変更が出来なくなるのだろう。

ただし、Windows Pro の仮想化機能を無効にしただけでは、Ryzen Master は起動できなかった。

一旦、無効にして Windows を起動するのが肝。こうすれば、SVM Mode が有効でも Ryzen Master を使用する事が出来た。

SVM Mode が有効であれば VirtualBox も使用できる。軽く debian を install した感じでは、問題なく起動出来た。

Hyper-VRyzen Master が併用できない事は残念だった。現在の環境では PPT Limit 142 W で CPU 冷却性能が間に合っているようなので、そのうちに Hyper-V も試してみよう。その際に、Hyper-VVirtualBox の共存も試してみる予定。

その2 Eco Mode

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現在使用している Motherboard の ASUS TUF GAMING X570-PLUS で、UEFI BIOSRyzen Master で Eco Mode を表示させ且つ有効にするのは、非常に面倒である。

UEFI BIOS 内に、Ai Tweaker と AMD Overclocking の2箇所に PBO の設定が存在していて、Ryzen Master で設定しても、再起動した後に PBO 条件が反映されていない事がある。

結局、Ai Tweaker 側の PBO を Manual、AMD Overclocking 側の PBO を Auto として、Ai Tweaker 側に Eco Mode の条件である PPT Limit 88 W、TDC Limit 65 A、EDC Limit 80 A を設定するのが簡単で良い。3つ共に設定する必要もなく、PPT Limit 88 W だけを設定するだけでも十分である。

その3の初めの方に記載したが、

  • UEFI BIOS の Ai Tweaker に設定した PBO 条件以上の値を Ryzen Master では設定できない。
  • Ryzen Master では、PPT Limit 71 W 未満を設定できない。

という制限がある。

その3、4 PPT、TDC と CPU 温度の関係

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CPU を含めた PC に高負荷を加えるソフトウェアとして、

  • OCCT (データセット(小)-スレッド数自動-命令セットAVX2)
  • Prime95 (small FFTs)

の2種類を使用し、PPT Limit を変化させた条件で最大負荷時の CPU 温度について調べた。

  • 環境温度 23 度(冬季の暖房された室内)、PPT 実際値が 140.0 W、TDC 実際値が 96.2 A の負荷の状態で、CPU 温度は 86.7 度まで上昇した。
  • Ryzen 7 3800x の最大温度 95 度には達しておらず、PBO 定格の条件(PPT Limit 142 W、TDC Limit 95 A、EDC Limit 140 A)の範囲内であれば、現在の環境では CPU 冷却が間に合っている事が分かった。
  • PPT Limit や TDC Limi を制限する事により、CPU 温度の上限を制限する事が出来る事が分かった。例えば、CPU 温度を 80 度以下で運用したい場合には、PPT Limit 126 W or TDC Limit 88A に制限すればよい(もちろん環境依存)。

その5 PPT と Benchmark 結果の関係

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の4種類の Benchmark について、PPT Limit を変化させて実行し、Benchmark Score と PPT 実際値、CPU 温度、Clock の関係について調べた。

  • CPU 定格で、Blender Bench 以外の3つの Benchmark 結果は、他のサイトの結果と同様の結果が得られた。
  • PPT Limit を増やしていくと、
    • Cinebench (R20, R15) と Blender Bench では、PPT 実際値は 130 W 程度で変化しなくなり、Benchmark の結果もほぼ一定となった。
    • CPUz では、PPT 実際値は 100 W 程度で変化しなくなり、Benchmark の結果もほぼ一定となった。
  • 4つの Benchmark 共に、CPU 温度は 75 ~ 76 度、Clock は 4150 MHz 程度で一定となった。
  • どの Benchmark でも、PPT Limit 142 W に達する事はなかった。CPU 温度も 95 度に達していない事から、4200 MHz の Clock 制限が掛かっているようだった。

結果

  • 高負荷を加える software (OCCT, Prime95) や Benchmark (CB R20, R15, Blender Bench, CPUz)、PC の各種情報取得 (HWiNFO)、と、色々な software を使いながら、新PCの状態を把握する事が出来た。
  • Ryzen だと CPU の最大温度の制限があるので、急上昇さえしなければClock を制限してくれるのだろう。今回はそこまでは達しなかったので、CPU cooler の異常等が発生した場合には役立つと思う。
  • Benchmark の結果から、Multicore の効果を強く感じる事が出来た。PPT Limit で制限を強く掛けた場合に、Clock が下がり CPU 温度を低下させても、Benchmark の Score は大きく下がることはない。小さいケースで処理能力を高くしたい、なんて用途も、最近の多コア環境であれば可能になってきている。
  • Benchmark の結果のバラツキが大きく、傾向を掴むのが難しかった。バラツキの原因として考えられるのは以下。
    • Windows10 の Background で動作する各種 software。止められるものは出来るだけ止めたが、Anti Virus 等はそのまま。
    • 環境温度の変化。殆どの結果は 23 度で実行していたが、一部は 18 ~ 20度で実施した。温度が低いと Benchmark Score は概ね上昇していた。
    • Core のバラツキ。私の Ryzen 7 3800x では、Fastest Core が C03 (CCX0 が C03 と C01、CCX1 が C08 と C07) であり、Core 間のバラツキにより、重い処理がどの Core に割り振られるかどうかで、結果が異なっていたと思う。

約10年振りの新しいPCの環境にも慣れてきた。通常の使い方であれば、CPU Fan の音も聞こえず、処理がもたつく事もない。非常に快適な環境になった。

今回、PC を新調するに当たって妥協した部分が幾つか存在している。

  • Monitor
  • Video card
  • NVMe SSD

今後は、旧PCで出来なかった事に取り組むと共に、新しいパーツを購入して、理想としている環境を作りこんで行きたいと考えている。

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Monitor は優先度を高くしたい。今は 23in. FHD (1920 x 1080) の TN 液晶で、表示は問題なく使用できているが、電源スイッチ等が接触不良を起こし始めている。出来れば、次は 4K IPS にしたいと考えている。ただ、24in. か 27 in. かは悩んでいる。現在の Monitor の置き場所に、そのまま収まってくれるかどうか。Monitor Stand は先行して購入しようと思っている。

MSI GeForce RTX 2070 TRI FROZR グラフィックスボード VD7133

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Video card は、空冷なら MSI の RTX 2070 TRI FROZR が安価で気になっている。Super じゃない方の 2070 は終売に向かっているし、発熱も少なそうなので、買い時を探っている状態。ただ、GPU は簡易だとしても水冷の効果が高そうで、Amazon.com の EVGA 製だと安価に購入できそうな事もあり、悩ましい。

X570 なので、できれば PCI-E 4.0 で使ってみたいが、今の価格だと難しい。PCI-E 3.0 で妥協するかも。容量は最低 1TB で妥協しない。入手できた段階で Windows10 を再 install してみる。