PC の音声出力については、これまでは「音が鳴って聞こえれば良い」というスタンスでした。操作時のエラーの音が聞こえれば十分で、音質について気にしていませんでした。でも、Youtube や Amazon Prime Video を PC で見るようになると、音楽や効果音の音質の悪さに嫌気がさしてきました。そこで、PC 用に小さなアンプとスピーカーを購入して音質を改善しましたので、使用感を紹介します。
これまでの PC 用のスピーカーについて
2020年1月に PC を更新した際にも、PC 用のスピーカーは以前の物をそのまま使用していました。約10年前に購入したスピーカーで、USB より電源供給してライン入力で音声を入力するタイプでした。選択理由は「小さいこと」で、幅・高さは10cm、奥行きが13cm程度の大きさでした。PC のディスプレイの下に設置して、ディスプレイ内蔵のスピーカーよりは幾らかましな音を出していました。
このスピーカーは当時500円程で購入しましたが、USB 電源のノイズを拾うのか、ライン入力端子に触れるとザリザリとした音を発したり、無音状態でも「ブーン」という音がしていたり、と音質以前に気になる所がありました。音質もシャカシャカしていて低音が弱く、音量を増やしても高音だけが強調されて、聞いていて落ち着かない音でした。
PC の操作音であれば気になりませんでしたが、Youtube や Amazon Prime Video を PC で見る時に「もっと音質の良いスピーカーに交換したいな」と考えていました。
新しい PC 用のスピーカーに要求する条件
子供達も一緒に PC の画面で動画を見るようになると流石に我慢が出来なくなり、スピーカーの更新を検討する事にしました。これまでの PC スピーカーと同じ位置に置く必要があるため、次のような条件で探しました。
小さいサイズ
大きいサイズのスピーカーであれば安価で良い製品が多くあります。しかし、これまでの 10cm x 10cm のスピーカーと同じようなスペースに置く必要があるので、小さいサイズという事を優先しました。
購入したもの
2020年11月末の Amazon のセールに合わせて、スピーカーとアンプ、ケーブル、端子類を購入しました。
ミニスピーカー Micca COVO-S

(ミッカ) Micca COVO-Sコンパクト2ウェイブックシェルフスピーカー
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Micca (ミッカ) という会社の 2ウェイミニスピーカーです。Highland Technologies という香港の会社のブランドで、COVO-S の他にも種々のスピーカーやアンプを販売しています。
このスピーカーの最も特徴的な所は大きさでしょう。実測で幅100mm x 高さ130mm x 奥行130mm で、ウーファー中心にツイーターを仕込んでいる2ウェイ構造です。
Micca COVO-S Concentric Driver Speaker | Micca Electronics
The speaker driver used is a combination 3-inch wool paper cone woofer and a centrally mounted 0.75″ PEI dome tweeter.
上記リンク先の下部に仕様 (Specifications) が掛かれています。入力インピーダンスは 6-8Ω、入力は最大 50W です。
クラスD アンプ Sabaj A3
Amazon で色々な中華アンプが販売されていますが、Sabaj A3 というクラスD アンプを購入しました。Sabaj は中国深圳の Shenzhen DaHao Technology という会社のブランドで、デジタルアンプやヘッドフォン用アンプ等を販売しています。
Sabaj Aシリーズには A1 から A4 までがあり、違いは以下の通りです。
製品名 | 入力 | 出力 |
---|---|---|
Sabaj A1 | ライン入力 | 30W×2 (4Ω) |
Sabaj A2 | A1 に加えて Bluetooth 4.2 入力 光デジタル入力 |
55W×2 (4Ω) |
Sabaj A3 | A2に加えて USB 入力 | 80W×2 (4Ω) |
Sabaj A4 | A3に加えて 同軸デジタル入力 |
80W×2 (4Ω) サブウーファー出力 |
Bluetooth は Ver.4.2 で apt-X に対応と書かれています。光デジタルと USB の両方の入力があるアンプが欲しかったので Sabaj A3 を選択しました。
クラスDアンプって何? と思って調べた所、PWM信号処理されているアンプとの事です。
クラスDアンプ(D級アンプ):これだけは知っておきたいアナログ用語 - EDN Japan
クラスA、B、ABアンプと比較して電力効率がよく、最近は音質も改良されてきているようです。
光デジタルケーブル、スピーカーケーブル

Amazonベーシック 光デジタルケーブル TOSLINK トスリンク デジタルオーディオ 1.8m
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Amazonベーシック スピーカーケーブル 16ゲージ 15m
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Amazon の物を購入しました。アンプとスピーカーの距離は20cm程なのでスピーカーケーブルの品質はそこそこでも大丈夫でしょう。
バナナ端子

nakamichi ナカミチ Nakamichi 24K 金メッキ バナナプラグ 8本セット
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ケーブルの被覆を剥いて挟み込んでネジ締めでも良いですが、折角なのでバナナ端子も購入しました。
開封
スピーカーもアンプも国内メーカー品ではありませんので、開封して中身を確認、接続して動作チェックするまでドキドキです。
Micca COVO-S
まずはスピーカーから開封します。
ちゃんと未開封品が届きました。テープの色を見ると粘着成分が若干変色していますので、比較的長い期間在庫されていたのかも知れませんね。でも箱の破損等もありませんでした。
開封すると、取扱説明書がありました。香港の会社で Made in China ですが、説明書は英語でした。上部の梱包材を取ると、ペアのスピーカーが袋に入って鎮座していました。
前面の写真とサランネットを外した状態です。幅100mm、高さ130mm に偽りはありませんでした。サランネットを外した状態で見ても、ツイーターがあるようには見えませんが内部に入っているので当たり前かも。見た目は1ウェイスピーカーのように見えます。
背面にはスピーカーケーブル接続用の端子とバスレフポート(穴)があります。中央付近の金属の穴は壁取り付け用の雌ネジです。取扱説明書には 1/4'' 20 thread size と書かれていますので、1/4-20 UNC (20山) のインチネジ(ユニファイネジ)でしょう。カメラ類の固定用のネジと同様と思います。
取扱説明書は、付属していた紙版と Web 版で内容が若干違っていました。Web版には壁取り付けについての項目がありませんでした。Web 版の PDF へのリンクです。
Sabaj A3
次にアンプの Sabaj A3 です。
最近の中華製品は外箱が奇麗ですね。Sabaj の製品の外箱も奇麗な印刷がされていました。蓋を開けると、日本語のメッセージカードが入っていました。それなりにちゃんとした日本語でした。右側は取扱説明書で簡体字中国語と英語です。
本体前面です。左側が電源スイッチ兼入力切替ボタンです。長押しで電源を入/切、短く押すと OPT(光デジタル)/AUX(アナログ)/BT(Bluetooth)/USB の順に入力が切り替わります。右側のボリュームは音量兼設定用のボリュームです。そのまま回せば音量の大/小、押すと各種設定画面に移行します。
右側ボリュームの反応が悪いです。回すとクリック感がありますが、音量が変わらない事もあります。中身を確認して交換したくなります。
本体背面は、左から ACアダプタ入力、スピーカー出力、光デジタル入力、USB 入力、Bluetooth 入力、AUX 入力です。Bluetooth 入力には付属のアンテナを取り付けます。
スピーカー端子は、バナナプラグ・Y 端子・被覆を剥いた線のどれでも接続する事ができる端子です。
本体は小さいですが ACアダプタは大きいです。入力 100-240VAC 2.2A 50-60 Hz、出力19.0V 6.3A でした。FCC や PSE、CE マークがついていますね。
Bluetooth アンテナ、USB ケーブル(Type A-Micro B)、リモコンです。初回使用時のみ、電源を入れたらリモコンのAボタンを押すように取扱説明書に書いてあります。
请在第一次使用A3时,先A键。
Please press button "A" at first time.
バナナ端子
Nakamichi のバナナ端子です。クイックポストで投函されました。
スピーカー2組 × 左右 × アンプとスピーカー側、合計8個のバナナ端子が必要です。金メッキの奇麗なバナナ端子でした。
接続、動作確認
決められた線を決められた場所に接続するだけですので、それほど難しくありませんでした。
バナナ端子とスピーカーケーブルの接続
バナナ端子は持ち手部分が赤黒で色分けされているので、ケーブルのプラスマイナスに注意しながら取り付けます。銀色の持ち手を回すとカバーが外れます。バナナ端子の下部に小さいネジが2本ありますので、被覆を向いたスピーカーケーブルを差し込んでマイナスドライバーで固定します。
アンプとスピーカーの距離が 20cm 位でしたので、30cm 程の長さで両端にバナナ端子を取り付けました。
スピーカー Micca COVO-S と アンプ Sabaj A3 の接続
スピーカーに左右の違いはありませんので、スピーカーを設置する側とアンプの L/R の向き、及びプラスとマイナスを間違えないようにバナナ端子を差し込みます。
PC と Sabaj A3 の接続
光デジタルと USB、Bluetooth の3種類で接続できる事を確認しました。
光デジタル接続
光デジタルケーブルを PC と Sabaj A3 に差し込みます。向きさえ合っていれば大丈夫です。サウンドの設定を変更すると 192 kHz で接続できました。
USB 接続
動作確認用に USB ケーブルも差し込みましたが、Windows10 では自動的にドライバが適用されて使えるようになりました。48 kHz で接続できました。
使用した感想
注文した物が全て揃ったのが 2020年12月ですので、使い始めて2か月半を経過した感想です。
- 狭い場所に置くために注文してからも置けるかどうか心配でしたが、問題なく設置できました。ディスプレイの位置を若干上げる程度で済みました。
- 音質は、高額なアンプとスピーカーのセットには敵わないでしょうが、PC のスピーカーとしては十分でした。Amazon Prime Video で映画を見ていて満足できます。
- 家に一人で居る時に音量を上げてみても、音が割れる事も無く良い音を鳴らしてくれます。
- 音の指向性が強いので、本来なら耳の高さにセッティングしたい所です。PC のディスプレイ下なので若干下なのが残念な所。
- スピーカーのすぐ後ろがコーナーの壁なので、反射されるのか低音は強めに感じました。大きい音を出すとテーブルが振動しているのが分かります。
- アンプ正面の右側のボリュームは、いくら使ってもなじむことは無く、未だに回しても反応しない事が多いです。
前に使用していたスピーカーとは違い過ぎて、PC で音楽や映画を見るのが楽しくなりました。
まとめ
ライン入力・USB 電源の安価なスピーカーから、光デジタル入力のアンプ・小さくても高性能なスピーカーに取り替えました。PC で見る Youtube や Amazon Prime Video で聞く音に満足できる性能でした。流石にピュアオーディオの世界の音とは異なるでしょうが、PC 用のスピーカー & アンプとしては十分だと思います。PC のディスプレイ周辺で設置場所に制限がある場合には選択肢に入るのではないでしょうか。
唯一気になるのは、ボリュームを回しても反応しない事がある点です。リモコンの反応は良いので、時期を見て内部を開けて状態を確認したいと考えています。